カラダシホン日記

主に食べることと、生き方のブログです。

★★★☆☆(書評)9割の病気は自分で治せる①② おいしい患者にならないために 岡本裕

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既存の医療には、多少なりとも不信感が漂う中で医学博士が書いた医療批判本に興味を持ち手に取りました。「おいしい患者」というのが明らかにキーワードです。病院経営にとって「美味しい」「カモ」になる患者というくらいの意味合いで、かなり既存の医療従事者にとっては挑戦的(好戦的)な本です。

著者の岡本氏はe-クリニックという主にがん患者からの医療相談を受け入れるウェブサイト上の活動をおこなっています。勤務医・開業医という枠組みから抜けたゆえに語れる本音というわけですね。

www.e-clinic21.or.jp

 「おいしい患者」がいなければ困る病院の経営事情

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 もともと岡本氏も「普通の医師」ですから、診療を続けるうちに、ショッキングな事実に気がつくようになります。「医師がいなくても治る人は治っていた、治らない人は治らなかった」。それを言っちゃ、おしまいよ、という感じですが、医師としてこの事実を認めるのは勇気がいることでしょう。

長年の臨床を経て、岡本氏は、患者というのが3つのカテゴリーに分けられるということに気づくのです。

カテゴリー① 医者がかかわってもかかわらなくても治癒する病気

カテゴリー② 医者がかかわることによってはじめて治癒にいたる病気。言い換えると、医者がいないと治癒に至らない病気。

カテゴリー③ 医者がかかわってもかかわらなくても治癒に至らない病気

(P29)

 著者の場合、診療のうち95%がカテゴリー①に属していたようです。このカテゴリー①の病気を、著者は「喜劇の病気」と評します。「悲劇」のヒロインにはなりっこない病気?だからです。「高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満症、痛風、便秘、頭痛、腰痛、不眠症、自律神経失調症」(P4)。これらの病気は原則として自分の力で治せる!と言います。メタボに関しては、「単なる食べ過ぎ、運動不足です」と言い切ります(笑)。

医師不足が指摘され、どの病院にも医師がわんさか押しかけている現状ですが、冷静に分析していくと、ほとんどの病は、定期的に病院に通う必要が無いのです。薬も不要、検査も不要、ただ、結論から言えば、適切な養生によって回復する病気です。しかし、病院経営的には、カテゴリー①の患者を数多く抱え、適当な薬を出し、定期的に通ってもらう(リピーター)になってもらいたいわけです。リピーターがいなければ、経営は成り立ちません。だからこそ「おいしい患者」というわけです。ちなみに、カテゴリー②や③はできるだけ抱えたくありません。病院の評判に関わるからです・・・(ため息)

私は整体畑出身ですので、小規模ながら著者の言いたいことはわかる気がします。整体の世界で名医と言われる人と整体で成功(経済的に)できる人は違います。商売を考えた時、大事なのはリピーターです。名医が一発で直してしまうようじゃ、経営的には困るわけです(なんたる!)。そこで、簡単には治らず、でもその場では気持ち良い、マッサージもどき整体がどんどん成功?していく定めにあります。ほんと、大人の世界ってのは汚れちまって・・・

 非常に評価できるのは、では、自分でどのようにカテゴリー①の病気に取り組むか?という著者なりの処方箋にもしっかりページ数が割かれていること。自己治癒力を高める14の方法が書かれています。私も是非参考にしたい点がいくつもありました。

  1. 前かがみの姿勢をやめる
  2. ときどきゆっくりと深呼吸
  3. 食にこだわる
  4. 便秘にはくれぐれも気をつけよう
  5. ベースサプリメントを上手に用いる
  6. 気がついたら、ときどき爪モミ
  7. ついでにツボ刺激!
  8. 温冷浴を習慣にしよう
  9. 血流をよくする「ふくらはぎマッサージ」
  10. 「易筋功」はとても簡単!
  11. 一日6000歩歩こう!
  12. 7時間睡眠のすすめ
  13. 自己治癒力を高める「海外旅行」と「読書」
  14. 薬は控えめにする

(目次より)

単なる医療批判本に終わらず、等身大の医師(白衣を脱いだ)が書く健康本として評価できると感じました。

 1冊目がとくにおすすめかも

どちらかと言えば、一冊目のほうがおすすめです。一冊目単体では★★★★☆(星4つという評価です)。本書には、岡本氏の本音がぎっしり詰まっています。本当は医師にとってやりがいがあり、やらなければいけないカテゴリー②の患者を集中して診ることができない医師の辛さがこぼれだしています。カテゴリー①の美味しい患者が多すぎて、カテゴリー②を診る暇が無いわけです。既存の医療システムを本気で変えたい!と願う岡本氏だからこその言葉です。厳しい医療批判本の背後には、本当の医師としての「志」があるように感じました。

 

 
9割の病気は自分で治せる 

 

ところが、2冊めはちょっと、二匹目のドジョウの感じが否めません。2冊を連続で読んだのでかえってそう感じたのかもしれません。2冊目単体では星2.5くらいです。おそらく出版社のせいが大きいでしょうけれど、前半部分は渾身の一作目でほぼ書かれたことを重複して書いています。後半は「病院とのつきあいかた」というサブテーマに沿っていますが、著者の筆力なら本当は前作にまとめてしまえると思います。売れたので、次回作を急いで書き下ろした(しかも前半重複)というのがちょっと残念に感じました。一作目に「言霊」を感じたからかもしれません。

 


9割の病気は自分で治せる2 [病院とのつき合い方編] (中経の文庫 お 7-2)

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