カラダシホン日記

主に食べることと、生き方のブログです。

僕は読みながらとてもツラかった・・【書評】未来のことは未来の私にまかせよう 31歳で胃がんになったニュースキャスター(黒木奈々)

黒木奈々さんのことを、ちゃんと知ったのは、彼女が32歳という若さで胃がん再発で亡くなった後のことでした。テレビのニュースなどでお顔は拝見したことがありました。背景まで知ったのは、この本を読んでからのこと。

時系列で並べると、2014年7月に胃がんが発覚、その後、手術・抗がん剤と進み、2015年1月にはアナウンサーとしての復帰を果たしつつも、2015年7月に再発、9月に亡くなっています。がんが分かってから、まる1年のうちに亡くなってしまったことになります。わずか32歳。

近藤誠氏の本には、悪質ながんと、がんもどきが、出てきますが、彼女のがんに関しては、当初より悪質なものではなかったかと思います。検診等で胃がんが発見されたのではなく、胃がんにより胃に穴があいて、激痛で倒れて運ばれて初めて発覚したのです。当初は、ステージⅠの早期発見とのことでしたが、後になってわかるのですが、実はステージⅢで胃も全摘、リンパにも飛んでいるため抗がん剤が必要になりました。

この闘病記は、一度目の手術・抗がん剤の後に、必ず復帰するという決意で書かれた本人の筆によるものです。 将来への希望とひたむきな気持ちが伝わるだけに、本人が亡くなった今、この本を読むのは逆にツライものがあります。私も最近、立て続けに友人や友人の奥さんなどをがんで亡くし、いざ、がんと闘うとなれば、何が必要なのだろう?と考え続けており、黒木さんの本を手に取りました。現在、私が考えている食生活とがんとの関係において、いくつか、マーカーを引いた個所がありましたので、ご紹介します。

注:後になって、あの治療法が良かった、間違っていた、と外野からいうのは簡単です。黒木さんが、一生懸命闘って生きた記録を、決して汚さないようにしたいですが、現在、私が食生活について勉強してきて、やはりどうしても引っかかるところに関して正直に書こうと思います。黒木さんのご家族の気持ちを思うと、このような記事を外部の誰かが書くことは、ツライことかもしれず、ためらいがありますが、彼女の死を無意味なものにしたくないと思います。

「健康診断を受けなかったから」という後悔

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「健診も受けておけばよかったと後悔した。私はフリーのアナウンサーなので、会社勤めの人のように年に一度の定期健診がない。忙しさにかまけて、ここ数年、一度も健康診断を受けていなかった。しかも、まだ三十一歳だし、年齢的にも受ける必要がないだろうという変な思い込みがあったので、「人間ドック」もこれまで受けたことがなかった。区から「検診のお知らせ」が送られてくる二年に一度の子宮頸がん検診のみ、受けてはいた。だが、乳がんを経験した母から「マンモグラフィーを受けなさい」と何度も言われたが、それさえも受けていなかった。


ただし、少し調子が悪いなと思ったら病院には頻繁に行っていた。そこで血液検査をしたり、レントゲンを撮ったりはしたが、胃がんが発見できる胃カメラをしたことはなかった。全身の検査を定期的にやっておけばよかったと後悔している。保険と健診をしっかりやっておけばよかったというのは、告知されてからずっと感じていることだ。二つに共通して言えるのは「この歳でがんになるなんて思ってもみなかったからやっていなかった」ということ。人生は何が起きるかわからない。自分で後悔しない方法を見つけるべきだったと改めて思う」

がんになった後、本人も感じ、また、周りでもこういう意見が飛び交います。もし、仮に黒木さんが、がん検診をこまめに受けていたらどうなったのだろうか?と考えます。というのも、がん検診の有用性に関しては、私の中でまだ結論が出ていない部分だからです。

先日読んだ、近藤氏のこの本によると、

健康診断は受けてはいけない (文春新書)

健康診断は受けてはいけない (文春新書)

がん検診をするがために、余分ながんを見つけてしまい、過剰医療によって命を落とすこともあるとのことです。がんの早期発見と死亡率には、あまり関係がないというのが統計上の結論のようです。黒木さんの場合は、胃に穴があく前に、病変を見つけることができれば、それにこしたことが無かった気もしますが・・・、がんもどきではなく、悪質な本物のがんであれば、何をしても状況は変わらなかったのでしょうか。

いずれにせよ、芸能人のガン発覚、または知人のがん発覚の知らせなどを聞くと、とにかく、「あ~、検診に行っておけばよかったのに。怖いね~」という話になります。私も自営業であり、検診に行かないと決めれば、何年でも行かないで済みます。この点に関する自分なりの結論を出しておきたいと改めて思いました。

追記:少し考えました
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「抗がん剤」で戦うしかない現実

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「もし、先生の家族が私と同じ状況だったら、抗がん剤を使うように勧めますか? と聞いたら「一〇〇パーセント勧める」との答えが返ってきた。医者として、やらなくていいなんて言うのは殺人行為にも等しいこと。口が裂けても言えないし、私にも抗がん剤をやってほしいと。 それを聞いて心が決まった。 抗がん剤をやろう。先生がここまで言うのだ。不安も感じるし、大変だろうけど頑張るしかない。」

がん専門病院のドクターの一言には力があります。バリバリ働くビジネスウーマンだった黒木さんが急転直下、突然のがん治療に向き合わなければならなくなったわけですから、頼るのはドクターということになります。彼女の言葉から、その信頼が分かります。

私も患者の家族、患者の友人の立場で、ドクターのICに立ち会ったことが何度もありますが、実際にはドクターの勧める抗がん剤を断るというのは至難の業です。選択肢を提示してくれているようでも、実際には、断る権利はないように感じます。断ると放り出されるのではないかという恐怖が強いです。

実際、黒木家でも葛藤があったことが描かれています。抗がん剤を飲む直前になって、家族が口をはさんだ場面です。

「朝食を食べて、いよいよ薬を飲む直前に父が一言。「昨日の夜、おばさんから電話があって、抗がん剤は勧めないって。抗がん剤がいかに危ないか書いてある本も送るって」 びっくりした。いままさに飲みはじめるタイミングで、どうして気持ちが揺らぐことを言うんだろう。悲しくなって涙があふれ出てしまった。  もちろん、私だって抗がん剤には賛否があって、飲まないほうがいいという考えがあるのも知っている。でも、そういうのもすべて考えて、怖くてたまらなかったのをやっとの思いで乗り越えて「やる」と決めたのだ。 おばさんだって、私のことを思っていろいろ言ってくれているのはわかっている。父が私のことをたまらなく心配してくれているのも。でもタイミングが悪すぎた。 食後三十分程度で飲まないといけないと言われていたけど、一気に飲む気が失せてしまって、飲み干すのに時間がかかった。」

とてもやるせない場面です。お父さんの心配も、おばさんの心配もわかります。

じゃあ、とにかく、大丈夫だよ!抗がん剤で治る!と勇気づけさえすればよかったのか?著書によると、黒木さん自身は、抗がん剤にとにかく賭けていたことが分かります。抗がん剤で治癒した経験を持つ患者に勇気づけられた話が登場します。引用したようにドクターをとにかく信じていたのでしょう。

こういう場合の家族の、または友人の介入の正しい方法はどこにあるのでしょうか。私もやはり迷いを感じます。

特定のがん(小児がん、前立腺、悪性リンパ腫など)には抗がん剤は効くことが分かっていますが、それ以外のがんの場合は、効果はかなりあいまいなものだといわれます。私の祖母は、末期の子宮がん・乳がん・膀胱がんでしたが、抗がん剤を使わずに、ワクチンや温熱療法など、可能な限りの代替療法で生き残ったがんサバイバーです。その事実が迷いを生じさせます。著書を読む限りでは、黒木さんが、抗がん剤一択で、それを武器にがんと闘った姿を考えると涙が出ます。がんそのものと闘うというより、後半は抗がん剤の副作用との闘いが描かれているから・・・。

さて、自分が、自分の家族が、がんを宣告され、抗がん剤を勧められたらどうするだろうか。延命のために行われる抗がん剤なのか、治療効果もあるのか、そのがん、タイミングによっても、選択はかなり異なるでしょうけれども。

抗がん剤 10の「やめどき」~あなたの治療、延命ですか? 縮命ですか? (あなたの治療、延命ですか?縮命ですか?)

抗がん剤 10の「やめどき」~あなたの治療、延命ですか? 縮命ですか? (あなたの治療、延命ですか?縮命ですか?)

(こと、抗がん剤に関しては、近藤誠氏は絶対反対派ですが、ある程度はバランスをもって考える必要はあると私は思っています。長尾氏の考え方がバランスが良いように感じます。これも、まだ私の中で、結論が出ない部分です。)

手術後の食生活の改善は必須

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「でも、お昼は好物のカップ麵「どん兵衛」を三分の二ぐらい食べることが出来た。味がした。味覚障害も食べ物によって味がしたりしなかったりする。たくさん食べて、腸がびっくりしているはず。ちなみに、インスタント麵は抗がん剤治療中の患者さんに人気があるらしい。」


「味覚障害はまだ続いているけれど、今日はかなり凄いことがあった。「モスバーガー」でテリヤキチキンバーガーと大好きなポテトを食べることができたのだ。油で揚げたものはダメだと思っていたが、ポテトが意外においしかった。また食べたい。食べられるものが一つずつ増える喜びは格別だ。あとで看護師さんに聞いたところ、抗がん剤治療中の患者さんにフライドポテトは人気があるそうだ。」

現在、食事について勉強している私にとっては、手術後の黒木さんの食生活の記述が辛く思えました。実際、私の友人も胃の全摘手術を受けましたが、医師からは「何を食べても良いですよ」と言われていました。医師はとくに栄養指導、食事指導をしません。しかし、どう考えても、インスタント麺、フライドポテトは抗がん剤治療中の患者が食べるものではありません。この本には、黒木さんが術後、または、抗がん剤治療中、どんなものを食べたか、かなり書かれていますが、特に気を付けた食生活を心掛け始めたことは書いていません。

がんサバイバーはがんをきっかけに、食生活を大きく見直し知識をつけてきた人が多いです。黒木さんのがんの進行は決して遅くはありませんでしたが、発覚から亡くなるまで1年ありました。せめて、半年の間に、食事(食習慣)を大きく見直すことができなかったか・・と、この点は非常に無念に思います。

黒木さんは、抗がん剤の副作用と闘い続けましたが、それは実際のところがんそのものとの闘いではありません。がんとの闘いの本質は、自分自身の生活習慣を正すことが、がんの進行よりも早く行えるかどうかなのだと思います。がんになるに至った生活習慣を改善するまで「間に合うか」どうかなのだと。

野中氏の著書を読むとその辺が分かります。
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e-クリニックの岡本氏は、手術を「時間稼ぎ」と呼んでいます。稼いだ時の間に、食に関して知識をつけて、自分の体質にあった方法を見つけられるかがカギなのではないでしょうか。そして、西洋医学の医師たちも、その点に無思慮であってほしくないと願います。黒木さんは最後まで医師たちを信頼し、抗がん剤でがんを治せると信じていたように思えるからです。

まとめ

まあ、後になって、もっとこうすればよかったというのは簡単です。そのような発言が心無いということも理解します。

しかし、同時に、がんとの闘いにおいては、たとえがん専門病院のドクターという専門家であっても、ただ指導通りにすればよいわけではないことは事実です。自分の体は自分で治さなければなりません。医師は、こと、栄養・食生活に関しては門外漢です。そして、それこそが、がんと闘う場合には必要な知識なのに。そう思わずにはいられませんでした。


もっと生きたい、仕事をしたい、恋愛をしたい、子供を産みたい、黒木さんの生の叫び声がいっぱい詰まった本です。苦しさを抱えつつ読みました。もう少し、ほんのもう少し生きさせてあげたかったですね・・。

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かなり率直な記事でした。でも、そこまで言うのは黒木さんや家族の気持ちを思うとツライです。気持ちが。ただ、私も同じように感じて、本を読みながら、読み進めるのが辛く感じたということを付記したいです。
参考:故・黒木奈々さんの著書を読んで思う。未来の私を決めるのは、今日私が食べたものだ…と。 : ORGANIC REVOLUTION

医師の立場から考察された記事を見つけました。なるほど、医師の立場としても強い無力感、悲しみを覚えているということも忘れずにいたいですね。
参考:アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜:医学の無力に憤る! 故 黒木 奈々 さん「未来のことは未来の私にまかせよう」

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