カラダシホン日記

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消費者と専門家の知識の差は大きい【書評】「健康食品」のことがよくわかる本(畝山 智香子)

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食養生に関心を持つようになると、どうしても、はまりがちなのが「サプリ」です。もともとはサプリ嫌いな私ですが、食事のお勉強に励むにつれて、食事のみでバランスよく栄養素をとることが難しい現実に気付くようになりました。また、食品添加物の害を少しでも減じるために、スカベンジャー的な意味でのサプリが必要ではないかと思ったりしました。

こういう感じで人はサプリにはまっていくのだろうなと、多少冷静に自分を観察したりしていたのですが、そんな中で、出会った一冊です。

「健康食品」のことがよくわかる本

「健康食品」のことがよくわかる本

私を含め、テレビや雑誌のブームにすぐに熱くなってしまう人にとって厳しい指摘は多いのですが、その厳しさの中には著者の愛を感じます。参考になったコメントをいくらか引用しておきます。

健康食品はなぜ高いのか?

健康食品や、サプリ類は錠剤やタブレットのように、あえて医薬品を模倣するデザインを有しています。しかし、医薬品が高価なのと、健康食品が高価なのはまるで理屈が違うといいます。医薬品の値段の背景には、「安全性や有効性に関する膨大な情報やそれを提供するための専門職能、健康被害が出た場合の補償も含めたシステム全体の維持にかかる費用」が反映されています。また、専門家(医師)による処方という技術料も加味されます。

このような価格的背景を持つ医薬品と、健康食品(サプリ)では、値段の意味が違います。健康食品やサプリが高い理由は一言でいえば「マーケティング」(宣伝)です。著者は、消費者に「幻想」を売る健康食品「ビジネス」としての実態を暴いています。

「中身は食品と同程度であるにもかかわらず通常食品より高価です。その値段の違いは、医薬品と異なり、マーケティング、つまり宣伝によるものです。もっと率直な言い方をすると、欲望を反映したものです。販売する側の、お金を儲けたいというわかりやすい動機だけでなく、買う側の、運動や食事制限をすることなく楽して痩せたい、やってしまった悪いことをなかったことにしてしまいたい、といったある意味ではとても人間らしい、しかし時には致命的な願望が「健康食品」という幻想を創り出しているのです。」

過去にはノウハウコレクターだった私にとってもこれはよく理解できる理屈です。値段も安ければ、ありがたみが薄れます。過去に、情報商材アフィリエイトの裏側を見ていたことがありますが、まさに、これと同じです。

販売する側の人は、健康食品やサプリを購入する消費者も、だまされる?(夢見ること)を望んでいるため、Win-Winのビジネスになっているのだと主張しそうです。しかし、著者が繰り返し主張しているように、「消費者に正しい知識が与えられない状態での選択はフェアではない」のです。

私個人としても、アフィリエイトなどは素晴らしい仕組みだと思っているのですが、健康食品のアフィリエイトにはどうも取り組めない理由もそこらへんにあります。

消費者には「知識」がない

巷では、大々的に宣伝されており、消費者はすっかり乗せられてしまうものの、研究者や専門家の間では、冷たい目で見られているいるものが少なくありません。例えば、ワインの健康効果は大いに喧伝されていますが、その一方で、ワインのレべストラロール研究の第一人者のディパク・ダス(Dipak K. Das)博士の論文が不正が発覚し、多数取り下げられていることはほとんど知られていません。また、レべストラロール研究のための研究所などがすでに閉鎖(解散)していることなど、メディアはほとんど取り上げません。

「医薬品の開発ではこのように「失敗」する事例は珍しくありません。問題は「期待できるかも」という時点で大々的にメディアが報道してもその後の経緯がきちんと最後まで報道されることは滅多にない、ということです。」

「効くかも」と言われても、実際にはボツになるような研究は数多くあるため、研究者や専門家は、そう簡単には乗せられません。次から次へと発表される研究に関してクールな目を持っているからです。

「業績のために研究倫理にもとる行動をする科学者たちは一定数いて、お金のために動く周辺の人たちもいる。だからこそ医薬品の安全性と有効性の確認のための試験には自由度が全くないような厳しい取り決めが発達してきたのです。大学の研究者は「研究の自由」という大義名分を隠れ蓑にすれば、研究上の不正行為をするのはずっと簡単です。


そういう実態があるので、単純な間違いの場合も含めて、科学者は一つの論文だけで判断したりはしないのです。ところで一消費者の立場からは、このような不正な論文を見抜くのは非常に困難です。ほとんど不可能といっていいでしょう。つまり、いわゆる健康食品を購入するとき、消費者は圧倒的に不利な取引をしているのです。」

健康食品、サプリを売る人たちは、ひとつの研究結果や、マスメディアで大いに報道されている「事実」を使うことが多いようです。健康に興味のある人ほど、多くの情報(テレビや週刊誌)に振り回されてしまう傾向があります。

著者も、食品添加物に過剰なまでに注意を払いつつも発がん性があることが知られている成分を含んだサプリを飲んでいる女性の例をあげています。結論として、著者はこう述べています。

小さなリスクは避けようとするのに、それに比べて圧倒的に大きなリスクにまったく気がつかないのはそれほど珍しいことではない、と思うようになりました。 これはその人の判断能力が足りないということではなく、その人の周辺の情報が偏ってゆがんでいるということを示しています。普通の人が普通の生活をしていると、テレビや新聞や身近な人との会話などから自然に入ってくる情報が、間違った方向に導くものばかりであるのが現状なのです。」

悲しいかな、これが、一般消費者の実態です。なかなかどうして、消費者が正しい情報を選ぶのは難しいものなのです。まずは、そのことを謙虚に認めていないとなりません。これだけネットで情報が氾濫していますので、徹底的にリサーチすれば、良いと喧伝される製品にも賛否両論があることが分かります。それだけでも冷静に考えるきっかけにはなるかもしれません。

それにしても、時に健康被害が出るような商品を嬉々として宣伝する医師たちは、良心を犠牲にしているのでしょうか。今の時代、専門家、というだけではなく「どの専門家」を信じるかということも、吟味しなくてはならない時代です。なんて、面倒なのでしょう。いや、いかん、いかん、「面倒」という言葉が、サプリや健康食品につけこむスキを与えているのだと自覚しなくてはなりません。

まとめ

サプリを飲もうかどうか迷っている人の頭から冷水をかけるような、冷静すぎる、理性的なツッコミに満ちた一冊ですが、こういう本は絶対読んでおいたほうが良いのは間違いありません。似たスタイルの本として下記のものがあります。

グルコサミンはひざに効かない 元気に老いる食の法則 (PHP新書)

グルコサミンはひざに効かない 元気に老いる食の法則 (PHP新書)

どちらの本も、また、ずいぶん、専門家と一般消費者の認識が違うということに驚かされます。じゃあ、テレビとか、週刊誌とかに出て、ニコニコ商品の薬効を説明している医師たちって何なんだろうと思ってしまいます。

現在、定期的に飲んでいる健康食品(サプリ)は、ごくごく、わずかですが、改めて自分の選択について考えさせられました。基本ではありますが、しっかり食養生(食べて治す)を勉強するのが、健康になる早道のような気がしますね。

「健康食品」のことがよくわかる本

「健康食品」のことがよくわかる本

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